【書評】祖父・小金井良精の記

購入日

20161217

読了日

20170213

昭和49年2月28日 初版発行

ショートショート作家・星新一が祖父である小金井良精の手記をまとめた本。小金井良精が過ごした明治・大正・昭和にかけての時代と彼の研究者としての仕事や交友関係などについてまとめられている。

神戸三ノ宮にある古書店で購入した。私はこの本と出会えて本当に良かったと思っている。

まず、書籍自体の保管状態が大変に良い。写真は装丁を撮影したものだが、これにもセロファン紙が丁重に貼られており、それを剥がすのがためらわれるほどだった。それほど大事に扱っているため、元の持ち主が購入した日付や帯といったものも同封されている。

また、初版本であることも私にとっては見逃せないポイントだ。刷数を重ねたものより初版のほうが原書に近い状態であることは間違いないし、そんな本の状態が良くなるほど大事にされているものだったということもよく分かる。

そして、個人的な感覚になるが、書籍全体に言えるのだがなぜか昭和40-60年代の組版が読みやすく感じる。それは文字の大きさであったり、仮名遣いであったりするのだろうが。紙自体も少し厚手でしっかりしているのも1つだろう。私もこの本を大事にしていきたいと思う。

概要

星新一氏の祖父であり、明治〜大正、昭和時代にかけて活動された、生物学者である小金井良精氏の半生について綴った本。

彼がどういった生い立ちで、明治の終わりということもあり、明治維新、倒幕から逃げるところ、どうやって大学教授となり民俗学を学ぶことになったか、ということが書いてある。また、周辺の森鴎外氏やドイツ人教授といったことについても言及がある。

縄文時代とアイヌ民族

書籍内では「アイノ」と表記されている。これは、良精氏の「できるだけ口語に則った記述をしたい」とのことから。

彼は人体骨格の研究者で、その縁からアイヌ民族といった日本原住民族の骨格収集を行っていた。北からのアイヌ民族、南からの縄文民族が混ざり合って日本人が生まれた、との記述がある。

アイヌ調査に関する批判

アイヌ文化を保存する会からの批判で、彼らアイヌ民族の先祖の墓を荒らし、頭骨などを持ち帰った、と糾弾されている。良精氏が北海道で調査した際、正当に彼らに依頼することなく墓を荒らし持ち去った−−とのことだ。

森鴎外氏らとの交流

文学界で著名な森鴎外氏、その息子於菟氏などとも交流が深かったようだ。また、他に見知った名前では島崎藤村の名前もあった。

フロックコートについて

当時彼らが着ていたのがフロックコート。クラシックで厳格なイメージがある。

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